オドリバにて叫ぶ

広告系で働く女(25)を煮たり焼いたりした雑記ブログ

【読書感想文】終戦記念日~今更ながら坂口安吾の「堕落論」を読んでみた

 

今の高校教科書では終戦の日は9月2日らしい。

ポツダム宣言受諾の日だよね。歴史上、きちんと戦争が終わった日だ。

何かの船の上で、サインした、的な

(記憶やばくね???)

 

先日坂口安吾を読んでみた。

 

国語の時間に習う、坂口安吾堕落論」「白痴」。学校での教育って、坂口安吾が何を書いたか?を習うよね。残念ながら全く読んでいなかった。読まずに、作品名だけを覚えてしまっていたんだな。10分あれば余裕で読める、非常に短い書き物であることも私は知らなかったんだな。

 

時間にも余裕があるので、何の知識もいれず、読んでみた。予備知識なしで、堕落論がどんなことを書いた話なのか、考えずに。

 

 

【超絶簡単な感想】

  • 最後の一段落、背中に掘りたい。
  • 戦後半年でこんなものを書いていた坂口安吾、すごい。

 

時間ないし坂口安吾なんて興味ねー、という人に届けたいのでこれを書いている。

私はこの作品を読んでから毎日読んでいる。

それほど心にとまったから。

 

【超絶簡単な紹介・要約】

  •  戦後半年(正しくは46年4月)で発表された作品
  • 女心は変りやすく(未亡人も新しい恋をするし)、(日本の)武士は仇討ちの法則などを知っていただけで(敵への)憎悪心が長続きしない。
  • 武士道≒天皇大義名分)
  • 戦時中、安吾は偉大な破壊を愛した。運命に従順な人間の姿に美しさを覚えた。
  • 戦時中、そこに堕落はなかった。
  • 戦後、我々は自由を許されたが、不自由さに気づく。人間は変らない。人間へ戻ってきた。
  • 戦争に負けたから堕ちるのではない。人間だから、生きているから堕ちるだけ。
  • 自分自身の武士道・天皇を編み出すためには、正しく堕ちる道を堕ちきることが必要

 

★☆

 

坂口安吾に関して全く知らないので、解説文や評論は読まないことにしている。知識や思い込みを植え付けたくないから。純粋な気持ちで、坂口安吾を読んでどう思うか?を大事にしたい。(先日の外山に影響を受けた)

 

【読書感想文】今更ながら外山滋比古「思考の整理学」を読む。 - オドリバにて叫ぶ

 

人間は何かを信仰する。

宗教だけではない。政治だって仕事だって恋愛だって、私にとっての信仰心がないと、追い求める何かがないとその道を極めるのは難しい。

 

戦後落ち込んだ日本人たちは、信じるものを失いつつあった。政治に頼ろうとしたり、天皇陛下に変わる何かを、求めようとしたり。

 

日本が、国が、堕ちていく感覚。

 

だけどそれは戦争によって堕ちたわけでない。

人間とはもともとそうで、そんな世の中に戻っただけである。

 

堕ちるところまで堕ちきって、自分自身を発見しよう、、、、

 

今の世の中に十分通じるものがある。

 

堕ちていくほどの、戦争ほどの、何かはない。

(天災や恐ろしい犯罪はあるけど)

 

だけどジリジリと、やら年金がもらえない、賃金があがらない、生活は改善している感じがない、まさに、堕落。

 

しかし、平成に訪れた堕落は落ちるところ堕ちきって、まだ堕ち続ける。

 

令和を生きる人間は、堕ちきったあと、自分自身を発見できるだろうか?

 

坂口安吾の時代はもっと大きなものを皆追いかけていた。もっと同じものを人々は見つめていた。だからすごい。大きいものに巻かれないで自分自身を発見しようと言ったことが。

 

今は、人が興味持つものがバラバラで、情報が溢れすぎていて、生活も価値観求めるものも、バラバラ。

 

それぞれいろんな方向に堕ちきって、その先に令和の幸せを。私は相変わらず堕ちて、また見つめ直そうと思った。